東京都鏡商工業協同組合

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鏡の製造方法
現代の製鏡方式
現在の硝酸銀による製鏡方法は、1830年に英国人のドライトンが、同方式に改良を加え、ドイツ人のリービッヒが、それまでのアマルガム鏡(水銀+錫)といわれる天引き(屋外で太陽光線て還元する方式)から、蔭引き(屋内で還元することのできる方式)という画期的な現在の製鏡システムを考案したことから、大量生産のスタートを切った。
ガラスの表面に銀膜を形成する原理は、硝酸銀のアルカリ性水溶液に各種の還元剤を加え、板ガラスの表面に微細な銀粒子を沈殿凝着させるということである。この沈殿の大きさがきわめて重大で、もし大きな粒子が沈殿して銀膜が形成させると、鏡面にならず灰白色の銀膜になってしまう。銀粒子の沈殿がきわめて微細で、しかも緻密な状態で作られると反射率の高い鏡面に仕上がる。
鏡膜が薄い場合は、透過光線で見ると暗紫色又は暗褐色に見える。ガラス面に対する付着力は、銀粒子の微少な程強く、また銀引(鍍銀)される時のガラスの温度は高いほどガラス面に最初に沈殿する銀粒子の付着力は強い。
ガラスの鍍銀(他のメッキでも同じ)は、鍍銀液中で帯電しているガラス面と鍍銀液中に還元析出した銀微粒子との引力によって行われるものであって、単に銀粒子がガラス面に沈殿沈積するものではない。
銀引液の材料および調合
(1) 薬品:硝酸銀(固形)、強アンモンア水、蒸留水
(2) 薬品:水酸化ナトリウム(固形)、蒸留水
(3) 薬品:ブドウ糖(粉末)蒸留水
(4) 銀接着薬品:塩化第一錫(固形)
銀引薬品の分量および調合
(1) 100平方フイート当たりの分量を調合する場合は次のとおり
蒸留水500ccの中に硝酸銀24gを入れて、かきまわしながらよく溶解する。 続いて50ccの強アンモニア水を少量流し込む。銀液 は灰色に変化する。液が変化後強アンモニア水を一滴ずつ滴下する。
灰色の液は室内温度と強アンモニア水の分量が適度に達すると、一滴の差で急に透明の液体に変化する。この状態がその日の銀 引の室内温度と薬品の配合分量が適したもので最後の一滴を滴下して止める。
この場合、強アンモニア水を多く入れ、銀引きするガラス面に流した場合還元が遅く、液体は次第に青色に変化し鏡にならないので最後の一滴には充分注意する。 調合を完了した後は、蒸留水を容器に満杯なるように入れてよくかくはんする。配合確認後は室内温度と調合分量の調和を保ち、場合によっては氷水や、室内温度で調節する。
(2) 前項(1)の調合と同様の方法で蒸留水に、水酸化ナトリウム20ccを入れてよく溶解させた後、蒸留水(1)の調合と同じ分量にして同様の方法で配合し、温度を調整する。
(3) 前項(1)(2)の調合方法で蒸留水を入れてかき回しながら、ブドウ糖を大さじ2杯入れ、よく溶解したら蒸留水を(1)(2)と同じ分量て配合し温度を調節する。
銀膜の接着薬品の分量及び調合方法
塩化第一錫を銀引する板ガラスの表面に流す。この液は蒸留水1000ccに塩化第一錫3gを入れて溶解させたものである。
銀引作業
(1) 銀引するガラスの表面を完全に洗浄する。最後の洗浄水は蒸留水を使い、ガラスの表面の汚れや不純物を除去する。
(2) 塩化第一錫を銀引面に均一に流し、室温と同程度の蒸留水で洗い流す。錫液が残ると、銀引調合液と化学反応を起こして、銀面 が青色を呈し銀の還元がが悪く、鏡にならない。また、洗い流す蒸留水の温度が高すぎると、銀液の還元時間が早くなり、銀面が縞状になる。
(3) 銀引液の調合及び資材の(1)〜(3)液の(1)液と(2)の2分の1を混合する。続いて温度と中和して還元する。(3)液を配合して、早い操作でガラスの前方から流すが、(3)液を配合すると液は次第に透明から灰色に変化しない。透明の段階で流した場合は、灰色になるまで時間をかける。銀膜が薄い場合は二度配合液を流す。
(4) 還元を遅れた場合は、ガラスの表面温度を下げ、(3)液の量を少なくする。
(5) 還元後、銀膜表面に灰色の粕が残るので、蒸留水で洗い流す。粕が残ると、鏡表面が灰色に曇る。また、洗浄水に鉄分などがあると鏡の表面に斑点が生じたりする。
(6) 洗浄後は、出来るだけ早く銀幕面の水分を乾燥させる。水滴が残ると、その部分の銀膜は剥離する。
銀引作業中の注意事項
(1) 銀引薬品の調合のコントロール (2)素板ガラスの完全洗浄 (3)銀液を流すスピード (4)銀膜面の水分の早期完全乾燥。

以上が基本的な技術であり、その後に裏止めの塗装処理の工程に入る
裏止め塗装
湿気や有害ガスによる銀の劣化を防ぐため、特殊塗料でフローコートを行い、焼き付け乾燥させる。
洗浄、乾燥
最後に、汚れを完全に洗い落とし、もう一度乾燥させ、完成させる。以上の工程はすべて完全自動ライン化により、均一かつ高品質の鏡が生産される。
ミラー製造ライン参考図(クリックすると別ウィンドウで拡大します)
鏡の製造ライン
鏡の製造方法(一般)